きっかけは1つの違和感から
あの日、私が楽天市場の開発エンジニアのリーダーとして先頭に立ち、開発に奮闘していたときのこと──。
「はい、その方向で進めます。」
この瞬間に私の心に刻まれた違和感は強烈でした。メンバーが一生懸命に考案した新規プロジェクトの企画に対し、私がふと「こうした方が良いのではないか?」と提案した途端、彼はためらうことなく自身の意見を引っ込め、私の提案を受け入れました。
その場にいた他の人たちも何も言わず、黙って同意した。そして、その時、私は思い出しました。何でも「福永さんに聞かないと分からない」と私の部下に言われて仕事が進まないと、他部署から相談を受けていたことを。
周囲がYesマンになっているのかもしれない。何でも私に確認を求め、私が決めないと何も決まらない。そして、私が休むと組織が止まる。私自身の限界がそのまま組織の限界となりかねない現状に、深い危機感を覚えました。
この経験を契機に、自身の限界を組織の限界としないための探求が始まりました。それは、チーム全体の力を最大限に引き出し、目指す結果へと導く新たなマネジメントの形を見つけ出す旅でした。
若手社員の退職、部下とのコミュニケーションの欠如
外国籍社員の入社による企業文化の危機・・・
しかし、この道のりは一筋縄ではいきませんでした。私がマネージャになった当時、会社はまだまだベンチャーな状況で、マネージャたちはほとんどが現場からの叩き上げばかり。体系だった教育プログラムも整備されておらず、私にとって全てが試行錯誤の日々でした。
初期のマネジメントでは、「これをやって」と部下に仕事を割り振るだけで、彼らの負荷状況を十分に確認することなく仕事を押し付けてしまい、その結果、チーム全体が疲弊し始めました。その後、私は一生懸命に部下をサポートするよう努力しましたが、それが逆に部下たちを置き去りにし、結果として彼らは自分の存在価値を見失ってしまいました。
また、チームが小さかった頃は、私の背中を見て部下たちは仕事を上手く進められていました。しかし、チームが大きくなるにつれ、部下たちとの距離がどんどん開いていきました。「仕事は見て覚えろ」、「自分から取りに来い」という幻想にとらわれたままだったのです。部下たちは仕事の目的や方向性が見えなくなり、次第にやる気を失っていきました。
さらに、会社の公用語が英語になると、多くの外国人スタッフが入社しました。彼らは日本の企業文化について「グローバル企業ではこんなことはしない」と指摘し、直接的な仕事以外のタスクや伝統的な慣習に対して拒否反応を示すようになりました。また、日本語を理解できない彼らには日本語関連の仕事が任せられず、それが結果として日本人スタッフとの仕事量の不均衡を生み出し、組織は混乱状態に陥りました。
人間関係以外にも、クレジットカード情報の漏洩、基幹DBのデータフォーマット事故、プロ野球参入や楽天スーパーセールによる急激な負荷増、終わらないサービス開発、English-nizationの光と闇など、現場のリーダー、マネージャとして様々な出来事に直面しました。
私は一つ一つの問題に対応しようとしましたが、全てが試行錯誤の繰り返しで、その過程で多くの優秀なスタッフを失ってしまったことは、今でも深く後悔しています。
3つの “ある施策” を実施
部下自らが考え、動き、自分の限界に留まらない組織に
試行錯誤を重ねる中で、私がたどり着いた3つの施策。とはいえ、それらが最初から上手く行ったわけではありません。調整と改善を重ねて、徐々に部下たちは自発的に考え、組織全体も活気を取り戻していきました。最終的には私にとって専門外の部署であっても、問題となっていた状況を解決し、部下たちにその組織を引き渡すことができました。
そして、その経験をもっと多くの方の役に立てたいと思い、私自身は独立するに至りました。
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- 効果的な指示の出し方とは?
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福永 博臣
米国NLP&コーチング研究所認定NLPプロフェッショナルコーチ
7つの習慣・実践会 認定ファシリテーター
文系の大学を卒業後1社目でプログラムを勉強し、2003年に楽天株式会社(現楽天グループ株式会社)に入社。その後19年間一貫して楽天市場のシステム開発・運用にリードエンジニア、マネージャとして携わる。
楽天がまだベンチャーな規模の時代から世界的な大企業になるまで急成長した過程を、いちエンジニアから部長に至るまで共に成長しながら幅広い視点で見てきた。
人材の採用・育成が間に合わないスピードで会社が成長、社内公用語英語化による外国籍スタッフの急増など、多種多様な組織課題をマネージャとして対処。
後年は組織を整え、立て直し、人を育てる組織マネジメントを行いながら、サービス開発のご要望を聞くために楽天市場の出店店舗を訪ねて全国各地に赴く。
昇進・昇給を続け仕事人としては成功をしていたが、家族との時間はなかなか持てず、家庭人として成功したとは言えない状況だった。
転機は2018年、書籍『7つの習慣』の実践者を育成・支援する、7つの習慣・実践会のファシリテーターに認定されたこと。
第3の習慣「最優先事項を優先する」を実践し、自分自身を管理することに成功し、人生が変化していった。
その後、心理学のNLPを学び、NLPプロフェッショナルコーチの認定をいただき、コミュニケーションに関する学びを深める。
2023年、自身の経験を活かしてもっと幅広く人々をサポートしたいと思い、コーチ・コンサルタントとして独立。